登壇「京都のデザイン製品が海外で飛躍するには? ―メイド・イン・イタリーから示唆を得る―」

「メイド・イン・イタリー」は今や世界に冠たるものとして成立し、Amazonにも「Made in ITALY」ストアが設置されています。イタリアの伝統工芸、職人の技はなぜ世界で活躍するのか?その背景を探ることは、京都の工芸品、デザイン製品が世界に羽ばたくうえでも示唆を得られるように思われます。

ジェトロ京都は、2020年に『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?: 世界を魅了する〈意味〉の戦略的デザイン』を著した安西洋之氏を講師に迎え、セミナーを実施しました。安西氏の講演後、京都で「DESIGN WEEK KYOTO」などクリエイティブなモノづくりに向けたさまざまな取り組みを行う弊社代表北林功がモデレーターとして登壇し、安西氏、ジェトロミラノ井手所長をパネリストにパネルディスカッションも行いました。

イベント概要

「京都のデザイン製品が海外で飛躍するには? ―メイド・イン・イタリーから示唆を得る―」

・開催日時:2021年10月12日(火) 16時00分~18時00分
・開催場所:オンライン(zoom)
・モデレーター:北林功
・講師:安西洋之氏
・参加費:無料
・主催:ジェトロ京都

メイド・イン・イタリーの魅力は?

 COS KYOTOのビジネスパートナーでもある、東京とミラノを拠点としたビジネスプランナー安西洋之さんからは、まずミラノ在住アーティストの廣瀬智史さんの「レモンプロジェクト」についてのお話がありました。

 「レモンプロジェクト」とは、3万3000個の本物のレモンをガラスでできた展示室の床の下に敷き詰め、人工的に抽出されたレモン精油を会場内に散布するというアートです。このアートは、「自然物」と「人工物」の双方を使うことで、万物の「複雑さ」や「不確かさ」について表現をしているというお話でした。 

 また、イタリアではクラフトマンシップ(Craftsmanship)がインテリアや宗教の現場など、様々な用途で展開されており、ミケランジェロ財団主催のイベントである「ホモ・ファーベル」には日本の職人も参加し、日本の職人制度は海外から評価されている面がある一方で、日本国内においてはなかなかクリエイティブなことはさせてもらえないのが現状であるとお話されました。

 さらには、“人間主義的経営”を掲げるブルネロ・クチネリを例にあげ、フランス等における19世紀の新興ブルジョア向けのブランド等が唯一のラグジュアリーではなく、「日常生活におけるラグジュアリー」についても言及されました。

 「メイド・イン・イタリー」の魅力について安西さんは、ラグジュアリーが窮屈でないこと、人の尊厳に背かないこと、信念を貫いていること、そこにいる人を中心に考え、空間を考え、地域のコミュニティを考えることなど、「レモンプロジェクト」のように、区切らないこととお話されました。

イタリアのラグジュアリーは?

 パネルディスカッションでは、ジェトロミラノの井手所長より、イギリスやフランスのラグジュアリーは貴族的である一方、イタリアでは、ブルネロ・クチネリのように「人間の尊厳を守ること」を経営哲学に掲げ、村を発展させ、人を豊かにし、次世代に引き継ぐことこそ新しい形の「ラグジュアリー」ではないかと語られました。

このようなことから、京都においても日々の暮らしにおいて、地域の人たちが交流し、大事にしていく価値観はなにかを議論し、自分たちなりの「京都らしさ」をかろやかに表現していくことが大事、という話に発展しました。

登壇者

安西洋之氏
モバイルクルーズ株式会社代表取締役、De-Tales Ltd.ディレクター
東京とミラノを拠点としたビジネスプランナー。欧州とアジアの企業間提携の提案、商品企画や販売戦略等に多数参画してきた。2000年代からデザインを通じた異文化理解の仕方「ローカリゼーションマップ」の啓蒙活動をはじめた。2017年、ベルガンティ「突破するデザイン」の監修に関与して以降、意味のイノベーションのエヴァンジェリストとして活動するなかで、現在はラグジュアリーの新しい意味を探索中。著書に、「メイド・イン・イタリーはなぜ強いのか?」、「世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?」、「イタリアで、福島は。」、「ヨーロッパの目、日本の目」。共著に、「デザインの次に来るもの」、「「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?」。訳書に、マンズィーニ「日々の政治」。監修に、ベルガンティ「突破するデザイン」。

この記事を書いた人

COS KYOTO株式会社

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