Edonomy Vol.4「里山の暮らしから持続可能な暮らしを学ぶセミナー」

昨今話題の「循環型経済(サーキュラーエコノミー)」
実は、すでに江戸期の日本で実現されていたことをご存じですか?
 江戸期においては、たとえば稲作ひとつにしても、刈り取った藁は筵(むしろ)や俵、藁ぶき屋根の材料、壁材、敷き藁、縄のれん、家畜の飼料、燃料として使用後、灰として肥料に用い、お米のもみ殻は、堆肥の材料、洗剤やせっけんとして、家具の艶出しワックスとして、など、モノを無駄にしないリサイクル・リユース(循環型経済)が行われていました。ところが、大量消費社会の発展により、使い捨てがもてはやされ、結果、大気汚染、資源の枯渇など、環境問題に直面してしまいました。
 こうした現状から、私たちは江戸期の人々の知恵や工夫を学び、自然のメカニズムのもと、最新技術を融合させていくことが地球規模の危機を回避するひとつの手段であると考え、“Edonomy(エドノミ―®)プロジェクト”をスタートさせました。
 そこで、“Edonomyプロジェクト“第四弾は、「里山の暮らしから持続可能な暮らしを学ぶ」」と題し、「IDEAS FOR GOOD」創刊者であり、サーキュラーエコノミーのプラットフォーム運営などを手掛けるハーチの加藤佑氏、“Edonomyプロジェクト“代表の北林とともに、里山の知恵から学ぶ企画などを手掛けているROOTSの曽緋蘭氏と中山慶氏にお話を伺いました。
※Edonomy(エドノミ―®)とは、Edo(江戸)+Economy(経済)の造語です。

イベント概要

■日時:2021年7月22日(木・祝)19:00-20:30
■料金:一般 1,000円(税込)、学生500円(税込)
■会場:オンライン(ZOOM)
■共催:COS KYOTO(株)、(株)ROOTS

加藤 佑氏「アフターコロナ時代のリ・ジェネレーションについて」

 「IDEAS FOR GOOD」創刊者であり、サーキュラーエコノミーのプラットフォーム運営などを手掛けるハーチの加藤佑さんからは、「アフターコロナ時代のリ・ジェネレーションについて」のお話がありました。
 リ・ジェネレーションとは「再生的」「繰り返し生み出す」といった意味を持つ言葉で、気候変動やサステナビリティに意識を向ける人々の間で、地球規模の社会課題を解決するための新しい概念として注目され、地球環境の持続可能性だけを追求するのではなく、地球環境を再生しながら、生態系全体を繁栄させていく考え方を指します。
 また、素材の健康状態を可視化し、資材別にデータベース化することにより、将来的に解体した際、再利用しやすくなる「マテリアルパスポート」の概念はこれからどんどん広がるとお話されました。
 さらには、戦争は常に資源(スパイスが最初で、石炭、石油等)を巡り争ってきたことから、waste(=廃棄物)を資源として捉え、経済モデルをリニア・エコノミーからサーキュラー・エコノミーに移行することで、日本や先進国は、資源立国にもなりうるのではないかと話されました。

▼加藤 佑氏(ハーチ(株))
社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン「IDEAS FOR GOOD」創刊者。2020年3月、サーキュラーエコノミーオンラインプラットフォーム「Circular Economy Hub」、横浜のサーキュラーエコノミー推進プラットフォーム「Circular Yokohama」を開始。

北林 功「仕組みの再設計と価値観の転換について」

 Edonomyプロジェクト代表の北林からは、Edonomyについての振り返りと仕組みの再設計、そして価値観の転換についてのお話がありました。
 私たちは地球温暖化という未曽有の事態に直面し、大量消費社会から新しい循環型社会へ舵を切らざるを得ない状況にあります。このことから、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄という一方通行型(リニア)の社会構造から、資源を循環させるサーキュラー型の経済構造へ転換させようという動きが注目されています。
 しかし、サーキュラーエコノミーは、目新しいものなのかといえばそうではなく、日本においてはすでに江戸期で実現されていました。
 江戸期の資源においては、1~2年以内で再生し、最後は肥料となる有機物由来のものを使用し、モノづくりにおいては、「生産ロスが出ず修理しやすい設計」にしていました。
 このように江戸期の人々が生み出した知恵や工夫を検証し、現代の高度な技術と組み合わせれば、これからの新しい循環型社会の姿が見えてきます。
 また、地域コミュニティにおける支え合いの仕組み、最小限の資源で心豊かに暮らしていく価値観への転換、一定の経済価値を生み出す仕組みの再設計などがセットで必須となると語りました。

▼北林 功(COS KYOTO(株))
自律・循環・継続可能でここ豊かな社会構築のために地域の自然・風土に根付くモノ・コトをグローバルに伝えていくことを目的に、地場産業の販路開拓や各種ビジネスコーディネート、国内外との文化交流イベントの企画・運営等を手掛ける。

曽 緋蘭氏・中山 慶氏「里山の持続可能な暮らし」

 里山の知恵を学ぶ企画などを手掛けている(株)ROOTSの曽 緋蘭さんと中山 慶さんからは、「里山の持続可能な暮らし」についてのお話がありました。
 里山は人が自然と関わる中で育まれ、管理活用をしていく事で美しい景観や生態系が維持されています。
 里山には古くから「木地師」と呼ばれる山中を移動して生活する集団がおり、里山の循環が保たれていましたが、近年は、そうした里山のプロが不在となり、里山の荒廃が加速しています。
 このような現状から、都会から京北町に移住されたお二人が、住民の方々から知識や知恵を継承しながら、山林の可視化、マテリアルフロー、防災に強い里山づくりを目的に様々な取り組みを展開しています。
 そのひとつが「LOGINプロジェクト」です。
 こちらは、里山の環境を活用し、木材産地のことや素材の力を知ってもらい、DIY で山や森を元気にすることを目指しています。
 また、京都・京北の森で循環型のものづくりを目指す「工藝の森」プロジェクトにも関わり、漆や和ろうそくの材料となる櫨(はぜ)を植林する活動も行っていらっしゃいます。
 今後は、ビギナーでも山に入っていけるシステムを構築し、企業のSDGs的な体験の場として里山を活用していくことも考えておられます。

▼曽緋蘭氏(ROOTS)
サンフランシスコで社会課題解決型のデザインプロジェクトに携わり、帰国後ヘルスケア事業の企画・戦略デザインを行う。現在は里山のコミュニティづくりや地域デザインを手がける。

▼中山慶氏(ROOTS)
英語・中国語のガイド・通訳・講師。世界80か国以上を主に仕事で旅しながら、独学で学んだ7カ国語を操る、旅の編集者であり、異文化コミュニケーションのコーディネーター。

ということで、 Edonomyプロジェクトでは、今後も里山はもとより、身近にある「Edonomyなモノやコト」をフォーカスし、「学び」のセミナーと「気づき」の体験ツアーを予定しております。

 ますます面白くなっていくEdonomyセミナー&ラーニングツアーにぜひご期待ください!

この記事を書いた人

COS KYOTO株式会社

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